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この優しい物語をすべての働く人たちに
ブラック企業にこき使われて心身共に衰弱した隆は、無意識に線路に飛び込もうとしたところを「ヤマモト」と名乗る男に助けられた。
同級生を自称する彼に心を開き、何かと助けてもらう隆だが、本物の同級生は海外滞在中ということがわかる。
なぜ赤の他人をここまで気にかけてくれるのか? 気になった隆は、彼の名前で個人情報をネット検索するが、出てきたのは、三年前に激務で鬱になり自殺した男のニュースだった――
働く人ならみんな共感! スカっとできて最後は泣ける"すべての働く人たちに贈る、人生応援ストーリー"
amazonより
第21回メディアワークス大賞受賞作品。50万部突破
さらには2017年夏に福士蒼汰主演で映画化も決定しています。
わたしがこれを読んだのは社会人1年目か2年目くらいで、主人公青山と似たような境遇のときでした。
タイトルの力に惹かれて即買いしたのを覚えています。
月:死にたい
火:何も考えたくない
水:一番しんどい
木:少し楽
金:少し嬉しい
土:一番幸せ
日:明日から憂鬱
こんな思いでひたすら一週間ループしている主人公、青山のもとに、謎の同級生ヤマモトが救いの手を差し伸べたことをきっかけに青山が成長していくストーリー…と書くのは簡単ですが。もちろん様々な苦悩が待ち受けています。
部長「いいか、数字を取れない奴は、ゴミだ!会社に損害を与えるヤツなんて、生きてる価値もねえ!まさかそんなゴミ以下の奴、この部署にはいないと思うけどなあ」
はい、アウト~。
こんなもん一発でアウトでしょ。録音とかしていてやりゃいいのに。
パワハラを超えて名誉毀損ですよ。さらにタチが悪いのが、
部長「そんなに手柄が惜しいか。世話になった先輩に後足で砂かけてまで数字が欲しいのか!このカスが!」
え~。
数字が取れないとゴミ。数字を追い求めるとカス。どうせいと…。
あぁ矛盾。
生きる気力を失いかけている青山に対して、ヤマモトはいつもの笑顔とハイテンションで、「転職のすすめ」をします。
仕事をやめるのはそんなに難しいことじゃない、と話すヤマモト。
「青山にとって、会社辞めることと、死ぬことはどっちのほうが簡単なわけ?」
心臓がドキリと高鳴った。
とありますが、改めて再読したわたしもドキッとしました。
極限まで追い詰められると、会社を辞めるという選択肢も見えなくなってきてしまう。
生きていれば色々と対処する方法があります。死んだら何も出来ない。
しかし、はたしてそれは追い詰められているのか、それとも自分で追い詰めてしまっているのか。
わたしは少なからず、後者も入っていると思います。
どうしても日本人は、真面目で、責任感が強く、「やり遂げなければならない」とか、「自分が多少辛くても迷惑をかけてはいけない」といった心理が強く働いてしまいます。わたしもそうですが、。
それは素晴らしいことです。日本人特有の、世界に誇れる大和魂だと思います。
でも、自分を犠牲にしてはいけません。
誰かに助けを求めてください。そして、逃げてください。
多少迷惑をかけたって、なぁに、死にゃあしません。
でも、自分で死んじゃったら、終わりです。むしろ、あなたを大切に想う周りの方の苦悩の人生が始まります。
みなさん、逃げましょう。
逃げちゃダメだ、なんてことはないのです。
素性のつかめない怪しい大阪弁の男、ヤマモト。彼の言葉と歯磨き粉のCMのような笑顔には、追い詰められた人間に伸しかかる、ピンと張り詰めた糸を「ふっ」とゆるめてくれる。
「大丈夫だよ」
この作品が、今の状況に悩み苦しむ人にとって、ほんの少しでも心が楽になる薬となるよう、願ってやみません。