2017年01月09日

『殺人出産』あらすじ 感想 村田沙耶香

こんにちは!jikuasiです。
本日ご紹介するのはコチラ!



”祝!芥川賞受賞
村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ!
10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。”amazonより引用


昨年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの作品です。

関連記事:『コンビニ人間』村田沙耶香


受賞から一気にメディアの露出が増え、昨年末の紅白歌合戦にもゲスト審査員として出場されてましたね。

つい先日もNHKでCharaさんと対談してました。





コンビニ人間でも、世間から当たり前と思われていることから離れて、世間を気にせずひたすら自分自身と正直に向き合って生きていく女性が描かれました。

村田沙耶香さん自身も恐ろしいほどにマイペースで、ちょっと(いや、かなり)癖が強いことから、作家さん仲間の間で「クレイジー沙耶香」と呼ばれるほど。笑

そんな村田沙耶香さんの問題作を今回はご紹介!


ちなみに『コンビ二人間』はこちらの記事でも紹介中です。

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内容(ちょいネタバレ)



殺人出産の舞台背景

・舞台は現在から100年後の日本
性交渉と妊娠を完全に分けて考える世界。セックスはもっぱら快楽の為のみに存在する。
・女性は成人するまでに人工の避妊具を子宮に装着
・子供が欲しい夫婦は、人工授精か、センターっ子(産み人が産んだ子供)をもらうことにより授かる。

産み人

・産み人となった者は病院の管理の下、十数年かけ、子供を10人産む。(死産はカウントされない)
・10人産み終えた後、指名した人間ひとりを自らの手で殺すことが出来る。(指名された人は「死に人」となる。
・人工子宮を取り付けることで、男性も産み人となることが出来る。
・産み人は体にかかる負荷も相当大きいので、途中で辞めることも出来る。
・産み人になるのは任意。
・人口に対しての産み人の割合は1割以下。
・産み人は人類の繁栄のために必要な存在であるため、人々から賞賛される。

死に人

・産み人から指名を受けたら、産み人に殺されるまで1ヶ月間の猶予を与えられる。
・その間死に人は監視下におかれ、逃亡する、産み人を殺そうとする、など不審な行動をとった場合、捕獲される。
・殺されたくない場合、自殺をすることも認められる。
・死に人は人類の繁栄のために死んでいくため、人々から賞賛される。

く、クレイジーだぜ…さや姉…。

わたしは哲学を専攻してたので、常識を疑うとかっていう類は結構得意なんですが、これはかなりぶっ飛んでますね。笑


殺人が合法的に認められる時代。


制度を肯定し、産み人となり、自らの殺意感情を満たそうとする育子の姉、

今の制度を否定し、正しい方(つまり今現在のわたしたちの世界の考え)へと矯正しようとする、早記子

そしてニュートラルな位置で、今の世の中がただしいかどうか分からない、主人公、育子

3人それぞれの想いが交錯し合い、それぞれの持つ正義を持って生きる。



10人産めば一人殺せるだなんて。
まったくもって、気味が悪い。

常識では考えられないです。

でもね。それって今後どうなるか分からないですよ。

常識っていうのは変わるから。


昔だって、お見合いで結婚するのが常識だったわけでしょ。
「恋愛して結婚するなんて、考えられない。非常識だ!」ってね。

それも100年前どころかつい5,60年前の話。

地球の長い歴史のなかで、1900年代の高度経済成長でそれこそわたしたちの暮らしは発展しましたよね。

でその変化するスピードはどんどん早くなってるし。
暮らしが変わればわたしたちの考え方も変わりますよ、そりゃ。

育子のセリフを引用します。

「私は早紀子さんにまったく共感できないわけじゃないですよ。でも私たちの脳の中にある常識や正義なんて、脳が土に戻れば消滅する。100年後、今地球上にいるほとんどのヒトの命が入れ替わるころには、過去の正常を記憶している脳は一つも存在しなくなる。古代から変わらない、ヒトという生命体が蠢いている光景の中でね」



だから今から100年後なんて、私たちの常識がどう変わっているかなんて分かんないんですよ。

常識、倫理、価値観、正義。そんな言葉たちの意味を考えさせらる一冊です。

表題作以外にも3篇収録されているので、また後日加筆します。


よーい、どくしょっ!

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タグ:読書芸人
posted by jikuasi at 11:08| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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