2017年02月18日

『森に眠る魚』角田光代 感想・あらすじ(ネタ

こんにちは、jikuasi(@jikuasi)です。

本日ご紹介する一冊はコチラ!





”東京の文教地区の町で出会った5人の母親。育児を通して心をかよわせるが、いつしかその関係性は変容していた。―あの人たちと離れればいい。なぜ私を置いてゆくの。そうだ、終わらせなきゃ。心の声は幾重にもせめぎ合い、それぞれが追いつめられてゆく。凄みある筆致で描きだした、現代に生きる母親たちの深い孤独と痛み。渾身の長編母子小説。”amazonより引用


はい、第3回アメトーーク読書芸人の回で、オードリーの若様がオススメしていた作品です!


①実際に起きた殺人事件をもとにしたお話
②ママ友同士のいや~な人間関係のもつれ
③どこにでもありうるリアルな話



舞台は東京。5人の母親と、その子供達の日常を描いたストーリー。


5人の母親と、その子供が1人か2人ずつ。
さらに旦那もいるので、登場人物の名前を覚えるのが大変です。
(不倫してる奴もいてるし。労力を増やすな…笑)

たぶん最初は分からなくなると思いますが、ストーリーが進むにつれてだんだん分かってきます。

だからいちいち前のページで確認したりしなくても問題はなかったです!


が、やっぱり分かんねぇよっ!子供生み過ぎッ!!
て人のために分かりやすく載せておきますね。


・登場人物

繁田繭子
開けっぴろげで飾らない性格。5人の中では一番年下。
夫の遺産が手に入るはずでマンションを購入したが、実際は予定額の半分にも満たず、金銭的に苦労する。

意識低い系。自分はおろか子供にもスナック菓子をバリボリ食べさせる。
若干マイルドヤンキー気味。

夫 祐輔  
娘 怜奈


久野容子
ライフスタイルや教育方針には特にこだわりを持たない。
のほほんと過ごせればいいなと考える。もっさり系。

他人の動向で流されやすい。
人付き合いが基本的に苦手。
疑い深く、被害妄想気味の性格。悪気はないのだが…
小林瞳のことを好意的に思っている。おそらく性格や考え方が自分に一番近しい存在だという仲間意識。

しかし、小林瞳の方からはあまりにも入り込んでくる容子を煙たく想い、距離を置くようになる。

夫 真一   容子の愚痴にいつもうんざり。(言葉には出さない)
息子 一俊  ぼーっとしていて、周囲の子供から少し浮いている。


高原千花

美人で、人付き合いもそつなくこなす。
家庭の収入は平均よりも高い。服、家具などひとつひとつのセンスが良い。
プチセレブ系。


夫  賢  造園・エクステリアの設計事務所を経営する。
長男 雄太 叱らないという千花の教育方針のためか、すこしやんちゃ。
次女 桃子 


小林瞳
5人の中では一番”普通”。
若干臆病で慎重になり過ぎなところがある。ボランティアサークルに参加。
高校時代、摂食障害を患った。


夫  栄吉  宗教団体の幹部で、瞳ともそこで知り合った。
長男 光太郎
長女 茜

江田かおり
繭子と同じマンションの最上階のフロアの住人。
高原千花はプチセレブだが、江田かおりはほんとのセレブ。
繭子から「マダム」と呼ばれている。
繭子に衿香の服やおもちゃのお下がりをあげる。

性格的はキツめ。思ったことはすぐ口にして相手に言う。
行動派も早い。
ある種一番まともなのでは…と思う。

が、結婚前からずっと不倫している。

長女  衿香 私立に通う小学生。聞き分けの良い優等生。
夫    護

田山大介 かおりが出産前まで勤めていた出版社の上司。かおりの不倫相手。

橘ユリ かおりの出版社時代の同僚。小学校受験に関して取材をする。







①実際に起きた殺人事件をもとにしたお話

この小説は1999年に起きた文京区幼女殺人事件をモデルに書かれた話です。

幼稚園ママ同士の付き合いで、ある女性Aは被害妄想に陥って、ボスママのBさんの娘を公衆トイレで殺害してしまうという、傷ましい事件です。


作中でも同じシーンが書かれています。
でも、寸前で自分の中から湧き出てくる泣き声で、ふっと我に返り、殺さずに済んだ、ということになっています。

この、事件と同じではなく救いをもたせるように変えた点が、作者の角田光代さんの想いが込められているのだと感じます。


②ママ友同士のいや~な人間関係のもつれ

最初はね、みんな仲良しだったんですよ。
幼稚園終わりのおしゃべりはもちろん。

「ちょっとお茶して行かなぁい?」
「わー!いくいく♪」

とか、


みんなおかずをタッパに入れて持ち寄ってピクニックとか、

もうすごいなごやかな関係だったわけ。


でも、なにか事件があったわけでもなしに、気付いたらなんだかぎすぎすした空気が広がっていく。




きっかけはそう、THE☆お受験


小学校のお受験をきっかけにぎくしゃくしてきます。

やれあの子は私立を受けるみたいだとか、

あそこの家はせいぜい国立じゃないと学費が払えないだの、


だれそこの○○ちゃんは幼児教育にもう通いだしてるだの、

彼女は受験をしない組のわたしのことを鼻で笑ってるだの

まー出てくる出てくる。


うわさとか、
被害妄想とか

オンパレード。


関係が良好だったころは他愛のない日常の楽しい会話だったのが、

同じ言葉を使っても、亀裂が入ったあとに聞くと、いやみにしか聞こえなくなっちゃう。


そういうのからまた思い込みが始まって…

相手へ不審感が強まって、

こう言われたことに腹が立って、ちょっと嫌がらせしちゃう…



いや口で言えや!


ってツッコミたいです。。。

が、そうもいかないんでしょうなぁ。
女の世界はコワイ。(ガクブルガクブル)






確実にこうなります…



③どこにでもありうるリアルな話


ほんこれ。

とくに、登場人物で特別変わった人っていないんです。

大変な事件が起こるわけでもなし。


それなのに、ちょっとしたことで揺れ動く人間の心模様を、

それもとことんマイナスの方向に動いていく様を描く角田先生の腕がすごい。

しかもびっくりするぐらい最悪な方向に向かっていきます。
どろっどろ。



なんかなー。

今はスマホが普及して、SNS疲れとか、ネットいじめとか、よく聞きますよね。

昔は無かったような事件とか、心の病とか、いっぱいニュースで目にします。


でもね、それってネットやスマホだけの問題じゃないと思うんですよね。



この作品の舞台は1999年頃です。
登場人物はスマホはおろか、携帯も持ってません。

連絡先の交換は、紙に固定電話と住所を書いて渡すという時代。

でもそんな時代でもこういう人間関係のもつれはある。


ということは、やっぱりわたしたちの心の根底に原因があるんじゃないかなって。

誰しもが、「良く思われたい」「あいつには負けたくない」
「嫌われたくない」「こう言ったら変に思われるから言わないでおこう」


とかとかって思ってるでしょ。

ほんで、基本的に全部「我が身かわいい」の精神なんですよね。

他人に気を使ったり、思いやったりしているようで、実は自分の評価を気にしている。


哲学者カントの、「定言命法」という主張がありまして。。それは

「○○の目的の為に何かをするのではなく、ただそれ自体が目的となるように行動すべし」


つまり、「自分が”良い人だ”と思ってもらえるように他者に親切にするのではなく、”ただ単純に親切にする”という気持ちで行動しろ」


っていうことなんですね。


まあすべてカントの言うような行動は無理がありますけど、そういう風に考えることもたまには必要かなって思います。


他人からどう思われてるとか

自分はあいつより収入が○○円少ないとか

あの子が受験するならうちの子もした方がいいかもとか


他者を気にしてばっかりいると生きるのが辛くなるんですよ。

この世界は自分がいるから存在するんだから、自分を中心に生きなきゃ。



みたいなね。

なんか終盤RADWIMPS的になってきたな。



そんな風に考えさせられる一冊でした。
ぜひご一読を。

ただし気分は落ちます。ご了承を。

よーい、どくしょっ!


関連記事:【続!】第3回アメトーーク読書芸人オススメ作品【まとめ】




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タグ:読書芸人
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2017年02月04日

アメトーク読書芸人大賞『静かな炎天』あらすじ

こんにちは、jikuasiです。本日ご紹介する一冊はこちら!



"有能だが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ第4弾。苦境にあっても決してへこたれず、ユーモアを忘れない、史上最もタフな探偵の最新作。〈甘いミステリ・フェア〉〈サマーホリデー・ミステリ・フェア〉〈風邪ミステリ・フェア〉〈学者ミステリ・フェア〉〈クリスマス・ミッドナイトパーティー〉など、各回を彩るユニークなミステリの薀蓄も楽しめます。好評の「富山店長のミステリ紹介ふたたび」も収録。"

~収録作~
・青い影 七月
・静かな炎天 八月
・熱海ブライトン・ロック 九月
・副島さんは言っている 十月
・血の凶作 十一月
・聖夜プラス1 十二月


前回の記事『アメトーーク!第3回読書芸人オススメ本』にて、メイプル超合金のカズレーザーさんが絶賛していた作品。読書芸人大賞にも選ばれています。

どうやらシリーズものだそうで。主人公のハードボイルドな女探偵、葉村晶が、ミステリ専門の書店でアルバイトをしながら、次々と舞い込んでくる調査の依頼を解決していくストーリー。

40代女性探偵、葉村晶。とにかく運が悪い。行く先々ですぐトラブルに巻き込まれるし、体調が悪いのに変なおつかいを頼まれるし。
何よりも軍を抜いてたちが悪いのが、アルバイト先にミステリ専門書店「MURDER BEAR BOOKSHOP」の店長の富山とかいうじじい。

・予定があるのにいきなり店番とか頼んでくる(というか命令)、
・女性は美味しいケーキやお菓子を簡単に作れるという思い込みのもと製作を指示してくる。
 (で、出来が悪いともちろん文句を言うてくる)
・おつかい先の住所のメモに、間違えた住所を書く。多摩湖と多摩市ってぜんぜんちゃう!
「住所を間違えたのは私のミスですが、葉村さんもマヌケでしたよね。出かける前にちゃんと確認しておけばよかったのに。プロの探偵なら、それぐらいのことはやっておかないとねえ」

あやうくスマホを西武多摩湖線の線路めがけて放り投げるところだった。

あやうくわたしもKindleを向かいの席の淑女に放り投げるところでした。

そんなことがしょっちゅうあるもんなだから、どうしても小言が多いです。それも非常に的を得た鋭いツッコミ。しかし、心の中で叫んで、決して口には出さないところが、彼女の優しいところ。そんな性格だからみんなから色々と振り回されるんじゃ…

探偵の腕はピカイチ

そんなこんなでいつもてんやわんやな葉村探偵。
なのですが、探偵としての腕は確か。全て、ビシッ!と解決しちゃうんですねー。
面白いのが、解決するまでの葉村探偵の推理、思考といったものが、一切語られないんですよね。

色々と周りに振り回されながらてんやわんやと見せかけて、実は黙々と頭のなかでパズルを組み立てています。そして、最期のピースがはまった瞬間!

トゥクトゥンッ!!

「謎はすべて解けた!」

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おい。笑

一瞬読者はおいてけぼりを喰らいますが、その後の葉村探偵の見事な推理に感心。
そして、「えっそんなことまで!?」てぐらいの伏線の回収が素晴らしい。あれがストーリーに関係してくんのかー!ほぇ~

過去のシリーズ

短編集ですが、おおまかには時系列がつながっているので、順番に読んでいく方がオススメです。
これはシリーズ最新作で、以前のものは一切読んでませんが、それでも面白かかったです。

気になる方は過去作もどうぞ。葉村探偵のこれまでの活躍を読んだあとに本作を読めば、より楽しめます。



”ルーム・クリーナー、電話相談、興信所。トラブルメイカーのフリーター・葉村晶と娘に借りたピンクの子供用自転車で現場に駆けつける小林警部補。二人が巻き込まれたハードボイルドで悲しい八つの事件とは。間抜けだが悪気のない隣人たちがひき起こす騒動はいつも危険すぎる。”



”わたしの調査に手加減はない
女探偵・葉村晶に持ちこまれる様々な事件。例えば、市役所から突然送られてきたガンの通知……その真相は少し切なく、少しこわい”



”少女たちはどこに消えたのか?
家出中の女子高生ミチルを連れ戻す仕事を引き受けた私は、彼女の周辺に姿を消した少女が複数いることを知る。好評葉村晶シリーズ”



”仕事はできるが運の悪い女探偵・葉村晶が帰ってきた!
探偵を休業し、ミステリ専門店でバイト中の葉村晶は、古本引取りの際に白骨死体を発見して負傷。入院した病院で同室の元女優に二十年前に家出した娘探しを依頼される。当時娘を調査した探偵は失踪していた――。”

そして、今回紹介した、『静かな炎天』へ。



放送でカズレーザーさんは、「若竹七海先生がなんで売れないのか分からない!」と言っていました。たぶん今からめちゃめちゃ売れるでしょうね。わたしもそう願ってやみません。

よーい、どくしょっ!

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タグ:読書芸人
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2017年01月31日

小説『カラマーゾフの兄弟』あらすじ・感想

【リライト2017.1.31】 【初稿2016.12.1】

こんにちは、jikuasiです!
本日紹介する一冊はこちら!



”物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。”amazonより

ロシアの大作家、ドストエフスキーの生涯最後の作品で、最高傑作です。
世界的超巨匠の大名著で、世界中で翻訳、また映像化や舞台化もされています。

感想:長い。

長ぇよー!うぅぇー!衣が分厚いサックサクのトンカツぐらいの分厚さです。
もっとこう、ヒレカツみたいなのでいいんだよ?好きよ、ヒレカツ…。

読みにくい 
ロシア作品なので、まず名前に馴染みがない。「フョードル」さんが読めない。「ふ…ひょ…ふょ…」ってなります。
「グリーゴーリィ」さんとか、読めるけど読みづらい。
で、出てくる人物名それぞれ、”あだ名”がついてて、混乱します。1人につき2つ名前を覚えないといけません。

なのに、登場人物クッソ多い。
AKBのチーム全員分くらい出てきます。中盤で忘れた頃に総選挙78位くらいのキャラが出てきて、「誰やねんこいつ」ってなります。

挙句、翻訳してるので日本語として意味が通じにくいとか、やたらと登場人物の言い回しが長いとか、のオンパレード。

わたし「もう助けて…」
とひぃひぃ言いながら読みました。難易度は高め。

でも、作品としての素晴らしさはもう言わずもがな。人間の愛、金、欲望、兄弟愛、自己愛、忠誠心、プライドといったものに揺れ動かされる人間の心の中を緻密に描き切る。そんな心理描写にあっと驚かされてばかり。


ずっと頭にはあったんですけど、なかなか購入に踏み切れなくて。あるとき、専門学生の妹が古本屋に行くという際、1000円札を渡して「カラマーゾフ買ってこい!」とパシらせました。しっかり上巻と下巻を買ってきてくれました。
「2部制か。どれ、楽しませてもらおうじゃないの…ふふん」
とページをめくり出したものの、上記のありさまで超苦戦。
でゆっくり1ヶ月ほどかかってやっとの思いで読みきり、達成感に満ち溢れた思いで最期のページをよく見ると…





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うおおおおおおおおおおおおおおおおぉ!!!
妹てめぇこのやろー!! いやドストの野郎ちくしょー!!!!




そこから中巻に手を伸ばすことなく半年…笑


半年後にkindlで中巻をポチり、一週間くらいでよめました。
残った上巻も同じくらいで読めました。


結論:最初をとにかくがんばれ

これに尽きます。
最初さえ乗り越えられれば、あとはなしくずし的にドストエフスキーさんの腕がなんとかしてくれます。

ちなみに複数出版社から翻訳本が出ておりますが、この新調文庫版の訳が1番読みやすいです。

わたしもこういう世界的名著をもっと読まなければなーと思ってはいるんですが、ついついヒレカツサイズのエッセイなんかに手を伸ばしがちで…。
頑張ります。

皆さんも頑張りましょう!健闘を祈る!

よーい、どくしょっ!





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2017年01月26日

小説『1984年』あらすじ・感想(ネタバレな

【リライト】2017.1.25 【初稿】2016.10.16

こんにちは、jikuasi(@jikuasi)です。

本日の一冊はこちら。







というわけでリライトです。


舞台は1984年。世界はオセアニア、ユーラシア、イスタニアの3つの超大国に分かたれ、3国は常に戦争状態にある。主人公ウィンストン・スミスの暮らすのはオセアニア。人々は偉大なる兄弟「ビッグブラザー」の支配のもと、党に忠誠を誓う。あちらこちらに「テレスクリーン」という双方向型の監視画面に監視され、少しでも反逆と取られる行動や思考を行えば、党員に逮捕され、「蒸発」させられてしまう。党は新しい情報を流す度に、都合が悪くなった過去さえも無理やりねじまげ、過去の記録を全て新しい情報に書き換えてしまう。(例えば、チョコレートが20円から30円に値上げしたら、「元々40円だったものが30円になりましたよ」と人々に植え付け信じ込ませる。)
さらには、余計な思考を持たないよう、「ニュースピーク」と呼ばれる、現在使われている言語を大幅に削ぎ落とした言語を使うようにされるという徹底ぶり。
党が「カラスは白い」と言えば白なのだ。

そんな、群集から思考を奪い取る党に対して、主人公ウィンストンは密かにこの現実を打破しようと、党に対しての反逆を目論む。同じ志を持つ女性ジュリアと出会い、共闘するのだが、やがて党に捕まってしまう。そこには、人格そのものを変えてしまうほどのおぞましいほどの拷問が待ち受けていた…




SF小説ですね。
全体的に暗いです。笑
どんよりしているので、落ち込んでいるときに読むとどんどん落ち込みます。

簡単に言えば、絶対的な支配者がいて、思考も人格もマインドコントロールしてしまうという組織に属しているという感じです。

”おかしい”と心のどこかで思っていても、その”おかしい”という感情さえも操ろうという組織です。

「残業するときはタイムカードを押してからね」というのが当たり前の状況と同じです。違うか笑

「2+2は5だ」というのが常識となるような世界。なんか怖いですね。

’われ想う、故に我在り’で有名な哲学者のデカルトの議論の中で似たような話がありまして。

彼は絶対に疑い得ないものを見つける為に、少しでも疑わしいものは排除するという作業をしたのですが、その中で彼は「数学」をも疑うんですね。
「1+1=2」っていうのは疑い得ない事実であると思いますよね。でも彼は

「もしかしたら”欺く悪魔”のような存在がいて、本当は1+1=3なのに、2であると我々を騙しいれているのかもしれない」と考えるわけです。

そこまでいっちゃうともうわけがわかんなくなりそうですけれども汗

今いる私達の世界も、もしかしたら私たちが知り得ない、どうしようもない存在に支配されているものがあるかもしれないですよね。

それは例えば「自然」であったり、もっと言えば「地球」とかね。


話はそれましたが、著者の提起している深いテーマも色々あると思います。
歴史の改変や、言語について、全体主義について、過去の東西冷戦など。
より詳しくは他の方が書かれていると思いますので、見てみてください。


これが出版されたのは1949年ですが、1984年前後のこの作品が生まれたイギリスでは大ベストセラーになったとか。
しかしその本のずっしりとした分厚さゆえに、買ったけどまだ読めてない「積ん読本」ランキングでも長らく上位だったとか。

私はKindleでスマートに読みました。笑 ぜひKindleでどうぞ♪



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2017年01月18日

これって小説!?『グローバライズ』をネタバレ

【リライト】2017.1.18
【初稿】2016.11.17

こんにちは、jikuasi(@jikuasi)です。

今回は、先日別の記事にも書きました、アメトーーク!第3回読書芸人の回で紹介された本のなかから、早速一冊読んだものを紹介したいと思います。




”生まれてくる時代を敢えて間違えた、すべての人たちへ。
フリーク続出! プロの書き手も熱狂する孤高の作家、傑作短篇集!

木下古栗ほどエレガントに「失笑」を飼い慣らした作家を、ほかに知らない。(絲山秋子)

小説がこんなところまで到達できるなんて。「GLOBARISE」を読む前の世界には、わたしはもう戻れない。(柴崎友香)

一読のたびに記憶を消したい。そしてまた読んで完膚なきまでに驚きたい。そういう短編集です。(津村記久子)

我読了。呆然自失、甚大絶頂感。展開奇天烈、言語尖鋭、人格崩壊、世界転覆。震撼哄笑必至、淫行芥川賞受賞必定。以上熱烈推薦所以也。(豊﨑由美)

古栗は常に別腹です。(松田青子)

すべての「意識高い系」読書人を挑発し嘲弄する、この上なくドイヒーでサイコーな文学がここに! ! ! (佐々木敦)

途轍もない視力を持つ位の高い魂に真っ向を射貫かれました。(町田康) amazonより


jikuasiオススメ度
☆☆☆☆☆ 星5つ


こんな方にオススメ!

・これまでたくさん小説を読んできた人
・たまにはちょっとひねりのある作品が読みたい人


これは…もう、マジで感想とか、説明とか、出来ませんっ!!

光浦靖子さんがオススメして気になったので購入。「ラスト1,2行で全部がひっくり返っちゃう」とコメントされていたので、そのつもりで読み始めたのですが、その期待すらもひっくり返されました。

とにかく、「ファッ!!?」
の連続。

短編集なんですが、短編集と呼んでいいのかも疑問…。
それぞれのストーリーはどれもとても趣のある格式高い文体で始まります。

複雑な設定、登場人物の綿密な一挙手一投足の描写、自分がその場にいるかよように、ありありと描かれる背景描写。

いささかややこしい人物の相関図を頭の中で描き、脳内で整理して、

「ははーん、これはきっと伏線で後で回収されるんだろうな」

なんていう推理小説フリーク気取りで頁をめくる。


そして物語が動き出すかに見えた終盤、



これまで緻密に構成されてきたストーリー全てをちゃぶ台返しのごとく「おらあぁぁぁぁ!!!」とひっくり返してしまう…。


例えて言うならば、

5時間かけて並べ上げたドミノを、完成間近のところで、大量のペンキを思いっきりぶちまける

そんな作品です。

読みながら、「これって小説なのか…?」思わず疑いたくなるほどでした。



凛として時雨の『鮮やかな殺人』を初めて聞いたときのような衝撃。





すみません、これは例えが分かりにくかったですね。
失敬しました( ̄Д ̄)(てへ)



分かりやすい例え持って来ました。

マジック・ザ・ギャザリングで言う「ジョークルホープス」を打たれたみたいな。

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ああっ!わたしのキマイラ像ちゃんがぁぁっ!




はい。


光浦のやっちゃん、やられたよ…。

かなりとんがっている作品なので、間違いなく読む人を選びます。

でも、ハマる人はとことんハマるんじゃないでしょうか。


作者紹介

”木下 古栗(きのした ふるくり、1981年 - )は、日本の小説家。埼玉県出身。男性。ナンセンスな下ネタやシュールな展開、独特の言語センスからエロ・バイオレンス・パロディを多用する異色の作風が特徴。

2006年、『群像』2006年6月号で『無限のしもべ』が第49回群像新人文学賞を受賞しデビュー。2009年、大量の書き下ろし短編を含んだ初の単行本『ポジティヴシンキングの末裔』を刊行。
2010年、『いい女vs.いい女』が絲山賞に選ばれ、2015年には『金を払うから素手で殴らせてくれないか?』でTwitter文学賞国内編1位に輝くなど、決して高くない知名度に反して、業界内外にコアなファンを持つ。”wikiより引用


wikiさんあざっす。

こういう独特の作風を得意としている作家さんですね。

web上のインタビュー記事で、今作『グローバライズ』についてこんな風に語っています。

”書かれていることを疑うどころではなく端からまったく信じられないような、スパムのような文章が面白いと感じていたのです。なぜなら、それをまったく信じられないということは、そこに自分にとってより遠い、相通じない「他人」がいるからです。「何を言ってるんだこいつは?」というような、強く「他人」を感じられる方が面白かったわけです。”
BOOK SHORTSより引用


何を言ってるんだこいつは?wwww

全くもって同感ですwwww

インタビュー記事はこちらから。
BOOK SHORTS 木下古栗さんインタビュー



いかがでしたでしょうか。

ここまで読んで頂いた方なら、もう読みたくてたまらなくなってますよね!

その気持ちに正直になって、ゲテモノ見たさ(失礼)でぜひ読んでみてください。

1度ハマると抜け出せない、古栗ワールドに引きずり込まれますよ。ずずずー



わたしも他の作品もチェケラしてみよう…

よーい、どくしょっ!


関連記事:【まとめ】アメトーーク!第3回読書芸人オススメ作品




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2017年01月09日

『殺人出産』あらすじ 感想 村田沙耶香

こんにちは!jikuasiです。
本日ご紹介するのはコチラ!



”祝!芥川賞受賞
村田沙耶香 最大の衝撃作はコレだ!
10人産んだら、1人殺せる。「殺意」が命を産み出す衝動となる。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪う者が命を造る「殺人出産システム」によって人口を保つ日本。会社員の育子には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは彼女の殺意。昨日の常識は、ある日突然変化する。表題作、他三篇。”amazonより引用


昨年『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんの作品です。

関連記事:『コンビニ人間』村田沙耶香


受賞から一気にメディアの露出が増え、昨年末の紅白歌合戦にもゲスト審査員として出場されてましたね。

つい先日もNHKでCharaさんと対談してました。





コンビニ人間でも、世間から当たり前と思われていることから離れて、世間を気にせずひたすら自分自身と正直に向き合って生きていく女性が描かれました。

村田沙耶香さん自身も恐ろしいほどにマイペースで、ちょっと(いや、かなり)癖が強いことから、作家さん仲間の間で「クレイジー沙耶香」と呼ばれるほど。笑

そんな村田沙耶香さんの問題作を今回はご紹介!


ちなみに『コンビ二人間』はこちらの記事でも紹介中です。

関連記事:【まとめ】アメトーーク!第3回読書芸人オススメ作品
関連記事:【続!】アメトーーク第3回読書芸人オススメ作品【まとめ】


内容(ちょいネタバレ)



殺人出産の舞台背景

・舞台は現在から100年後の日本
性交渉と妊娠を完全に分けて考える世界。セックスはもっぱら快楽の為のみに存在する。
・女性は成人するまでに人工の避妊具を子宮に装着
・子供が欲しい夫婦は、人工授精か、センターっ子(産み人が産んだ子供)をもらうことにより授かる。

産み人

・産み人となった者は病院の管理の下、十数年かけ、子供を10人産む。(死産はカウントされない)
・10人産み終えた後、指名した人間ひとりを自らの手で殺すことが出来る。(指名された人は「死に人」となる。
・人工子宮を取り付けることで、男性も産み人となることが出来る。
・産み人は体にかかる負荷も相当大きいので、途中で辞めることも出来る。
・産み人になるのは任意。
・人口に対しての産み人の割合は1割以下。
・産み人は人類の繁栄のために必要な存在であるため、人々から賞賛される。

死に人

・産み人から指名を受けたら、産み人に殺されるまで1ヶ月間の猶予を与えられる。
・その間死に人は監視下におかれ、逃亡する、産み人を殺そうとする、など不審な行動をとった場合、捕獲される。
・殺されたくない場合、自殺をすることも認められる。
・死に人は人類の繁栄のために死んでいくため、人々から賞賛される。

く、クレイジーだぜ…さや姉…。

わたしは哲学を専攻してたので、常識を疑うとかっていう類は結構得意なんですが、これはかなりぶっ飛んでますね。笑


殺人が合法的に認められる時代。


制度を肯定し、産み人となり、自らの殺意感情を満たそうとする育子の姉、

今の制度を否定し、正しい方(つまり今現在のわたしたちの世界の考え)へと矯正しようとする、早記子

そしてニュートラルな位置で、今の世の中がただしいかどうか分からない、主人公、育子

3人それぞれの想いが交錯し合い、それぞれの持つ正義を持って生きる。



10人産めば一人殺せるだなんて。
まったくもって、気味が悪い。

常識では考えられないです。

でもね。それって今後どうなるか分からないですよ。

常識っていうのは変わるから。


昔だって、お見合いで結婚するのが常識だったわけでしょ。
「恋愛して結婚するなんて、考えられない。非常識だ!」ってね。

それも100年前どころかつい5,60年前の話。

地球の長い歴史のなかで、1900年代の高度経済成長でそれこそわたしたちの暮らしは発展しましたよね。

でその変化するスピードはどんどん早くなってるし。
暮らしが変わればわたしたちの考え方も変わりますよ、そりゃ。

育子のセリフを引用します。

「私は早紀子さんにまったく共感できないわけじゃないですよ。でも私たちの脳の中にある常識や正義なんて、脳が土に戻れば消滅する。100年後、今地球上にいるほとんどのヒトの命が入れ替わるころには、過去の正常を記憶している脳は一つも存在しなくなる。古代から変わらない、ヒトという生命体が蠢いている光景の中でね」



だから今から100年後なんて、私たちの常識がどう変わっているかなんて分かんないんですよ。

常識、倫理、価値観、正義。そんな言葉たちの意味を考えさせらる一冊です。

表題作以外にも3篇収録されているので、また後日加筆します。


よーい、どくしょっ!

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タグ:読書芸人
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2017年01月07日

『マチネの終わりに』 アメトーク読書芸人大賞

こんにちは!読書芸人のjikuasiです!
今回ご紹介する一冊はこちら!



”天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。
深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。しかし、洋子には婚約者がいた。
スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。
やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。
芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。”amazonより引用

先日放送されていた、アメトーーク!第3回読書芸人の回で、ピースの又吉直樹さんと、オードリーの若林正恭さんの2人がオススメしていて、さらには読書芸人大賞2016にも選ばれた作品となってます。

関連記事:【まとめ】アメトーーク!第3回読書芸人オススメ作品
関連記事:【続!】アメトーーク第3回読書芸人オススメ作品【まとめ】

大人向けの恋愛小説です。お子様には難しいかも!

天才クラシックギタリストの薪野(東京在住、38歳、独身)
と、通信社に勤める洋子(パリ在住、40歳、婚約済み)
らの、恋愛物語です。

クラシックギターの演奏ってあまり馴染みがないなと思い、調べてみるとこんな感じ。



おお、なんかすごい
しっとりと落ち着いた印象ですが要所で力強い演奏もあって…、なんか心が洗われる。
わたしがよく行くライブハウスでのバンドのギターと全然ちゃう…。

ちなみにマチネとは、お昼の公演のことね!



・内容(ネタバレなし)

2人は、薪野のコンサートを洋子が観に来ていて、終演後の舞台裏で初めて出会います。
出会ったときから蒔野は洋子に惹かれるんですが、洋子にはフィアンセがいて…

→でもやっぱり好きだから、決断をする!

→洋子も応える!

→びっくりするようなことで、すれ違い、疎遠になる。

→5年後。それぞれ別の人生を歩み出している

→またお互いのことを思い出す。そして…



という構成です。このすれ違いの箇所がね~!く~!!
こう、胸が締め付けられるようなね、ぎゅーって。そんな感じ。つらいわ~。


前編通してホントみなそれぞれ価値観、それぞれの正義を持っていて、
それが時としては他人の正義とぶつかりあいっこしちゃう。

でもそういったものすべてを乗り超えた、2人の愛。

純愛っていう言葉ともなんか違うような。

相手の周囲、過去、バックの状況すべてを包み込んでの愛。うーん。

「一晩一緒だったから好きになって付き合う」なんていうものとは対極にある、心からの愛のカタチが描かれています。


それでまた平野敬一郎さんの表現が恐ろしく素敵。

”もし彼がすぐ側にいたなら、恐らくは本葉が出たくらいの頃に気がついて、怪訝そうな顔で、洋子の心の中からそれを引き抜いていたはずだった。悪い妄想だ、と。洋子の心を乱していたのは、茫漠とした一万キロ弱に及ぶ東京とパリとの隔たりではなかった。一ミリと違わず正確に、彼の肌から彼女の肌までの距離だった。"本文より


肌と肌との距離!
まさに鳥肌が立ちました。

あとから読み返して気付いたんですが、これ平野啓一郎さんの実体験をもとに書かれてるんですね!
つまり薪野と洋子のモデルがいるんです!

ほぇ~。
現実のお2人がいまどうなってるのか…すごーく気になります。


過去は変えられる

あと、ストーリーとは若干ズレますが、わたしに強く響いたこの言葉。
物語冒頭に出てくる薪野の台詞です。

”人は変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?”本文より引用


これは洋子の心にグッと刺さり、その後も何度か洋子は想起します。


「他人と過去は変えられない。だけど、自分と未来は変えられる」

みたいなコピーをよく見ます。色んな本でも出てきました。

でも、違うんです。過去は変えられる。

つまり、過去に起こった事実そのものを変えることは出来ないけれど、
その事実に対する自分の想いや、意味合いはいくらでも変えることが出来る
。ということ。

例えば、わたしのプロフィールにも書きましたが、わたしは小学校6年間、空手道場に通っていました。ただそれは嫌で嫌で、毎週のように練習日に近づくにつれて、
「空手行きたくないよう…」
と、真剣に思いながら行ってました。

中学、高校生までの僕の中で、空手をやっていた過去は、本当にただの嫌な過去、忘れたい過去だったんですね。

でも、大人になった今、「空手をやっていてよかった」と心から思っています。


理由としては、まずは礼儀が身についたこと。
空手道、柔道、華道、茶道、「道」と名のつくものはどれも、礼儀・作法を重んじるものです。

元気よく挨拶、目上の人への態度、正座、姿勢、心構え、等、を学びました。

当たり前のことですが、その当たり前を小学生時から出来る子はそうそう多くないと思います。
よく友達のお母さんや親戚に、「○○ちゃんは本当にしっかりしてるね」と褒められました。

そういったベースがあったからこその、今があるのだと思っています。


もう1点身に付いたのは、投げ出さないでやり続ける力です。

辞めることは簡単です。
嫌なことを続けるのは苦痛です。

多少嫌なことでも、なんとかかんとか頑張る。あと一日がんばろう。もう一日がんばろう。

それが積み重なっていけば、大きなものになっていく。その先には辞めようとしていたときには想像もつかなかったような価値が待っています。

イチローの名言にもありますね。
「小さいことを積み重ねるのが、とんでもないところへ行くただひとつの道だ」

わたしもそんな気持ちでなんとか踏ん張って空手を続けた結果、
あれよあれよと実力がつき、県で準優勝、第一回の全国小学生大会に出場することが出来ました。


もちろん、すぐに辞めるべきこともあります。ブラック企業勤務は即辞めるべきです。

でも、耐えて続けるという局面もあっていいと思うんです。


嫌なことを続けるためには、続けられる方法を工夫しますよね。
たとえば誰かに怒られて、「嫌だ、辞めたい」と思う。そうしたときに、

・相手も機嫌が悪かったのかもしれないから、仕方ない!
・次は怒られないよう、別のやり方でやってみよう!

とか、考えるでしょ。それ、自分のレベルアップでしょ。

継続は力なりといいますが、それは
継続するために考え、工夫したことが力になるのだ」ということです。

小学生の頃にはもちろんそこまで考えられてませんでしたが、
なんとか継続してこれた結果、得られたものがある。

そんな風に考えたとき、
今こうして空手をしていた過去を振り返ると、その過去は絶対に自分の中で核となる、
めっちゃ大事な経験となります。

「過去は変えられる」

この作品を読んで、そんなふうに自分の過去と向き合う機会が出来ました。

ぜひご一読を。

 
他の読書芸人大賞に選ばれた、コチラの作品もオススメです。↓

関連記事:カズレーザーおすすめ!『静かな炎天』若竹七海
関連記事:これって小説!?『グローバライズ』木下古栗

よーい、どくしょっ!


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2016年12月25日

『夜は短し恋せよ乙女』森見登美彦

こんにちは!jikuasiです。
本日の一冊はこちら!



”「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作。”amazonより

奈良が生んだ奇才、森見登美彦さんの代表作、夜は短し歩けよ乙女です。

先日、アニメ映画されることが決定し、主人公の声優を星野源、主題歌をアジカンが務めることが発表されて話題となりました。




興奮しております。笑

内容は、京都を舞台とした、青春(?)の物語です。
わたしも大学時代を京都で過ごしたので、馴染みの地名も出てきて、読むたびにとてもなつかしく感じます。

この作品が出た当時はわたしも大学生でして、学生の間では森見登美彦と伊坂幸太郎が2大人気作家でした。

伊坂さんの作品は、伏線を張り巡らせたミステリーもので、最後に伏線を回収してスカっと読み終える、というパターンが多いです。

森見さんの場合は、これがまたひじょ~に独特。

主人公の「先輩」が同じ大学の後輩である黒髪の乙女へ抱く恋心を、なんとかしようともがくがなんともならないお話。
それは、先斗町での宴会騒ぎや、
下鴨納涼床古本市、大学祭でのゲリラ喜劇、京都中に猛威を振るう風邪。

偽電気ブラン、おともだちパンチ、詭弁踊り、二足歩行ロボット、猥褻図書など、
とにかく出てくるモノもヒトも表現も、ちょっと「ヘン」なものばかり。

奇妙な登場人物の奇妙な語り口で奇妙なストーリー。
リアルとファンタジーの狭間で繰り広げられる奇想天外キャンパスライフ。
黒髪の乙女の本丸を攻め込む準備として、着々と外堀を埋める作業。

読み始めたとたん、森見ワールドに没入すること間違いなし。

とはいうものの、amazonレビューでは以外にも否定的な意見が多いです。
この無駄に古風で長ったらしい独特の言い回し。これがこの作品、ひいては森見さんの味であり、武器なのですが、それが合わなくて読み進められなかった、という方は結構いてるみたいです。

ですので、好き嫌いが分かれる作品です。
ただ思うのは、長ったらしい偏屈な言い回しの部分は無視して読んでもストーリー自体には大して関係ないことばかりなので問題ないかと…笑

そうして多少難しいところはすっ飛ばして読んでるうちに、慣れてくると思います。
注意点としては、マジメに読まないこと。笑  

マジメに読んだって、マジでくだらないですよ。(怒られるわw)

ちなみにわたしは大好きで、たぶん4回ほど読んでます。
読みにくいんだけど、読みやすい。なんか良いテンポなんですよね。

映画化の前に、ぜひご一読あれ。

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2016年12月07日

バカリズム作シュールなブログ本架空OL日記

こんにちは、jikuasiです!
本日ご紹介するのはこちら!



”バカリズム、OLなりすましブログ文庫化!
会社のあとに、デパートの化粧品売り場をチェックしたり、しめにラーメン食べて焦ってジムに行くけど、お腹はぼっこりのまま。それが私。

寝坊して遅刻しそうになり、髪はボサボサ、眉だけ描いた緊急メイク状態で電車に乗ったら高校時代のかっこいい先輩にばったり遭遇。なのに、会社に行ったらいつもと同じといわれてしまう。それが私。
ジムで腹筋が割れてスタッフに間違われたりする同僚マキちゃん、いろんな意味で天然すぎる後輩サエちゃんたちとの半笑いな日々。
バカリズムが、OLになりきって書いた伝説のブログ、文庫化! ”amazonより


感想:クッソしょうもねぇww

更衣室で繰り広げられる、あまりにもとりとめもなさすぎる会話。
ラーメン屋とマツキヨとデニーズで7割を占める、大学生のような行動範囲の狭さ。

OLだけど、仕事の話はほとんどなし。
色恋沙汰なんんてもってのほか。
出てくる男性はといえば、口の臭いクソ煮込み副支店長くらい。

マッチョでアスリートなマキちゃん、電車通勤者に漫画18冊を貸してくれる心優しい天然のシホちゃん、1文字惜しい酒木法子さん、なにかと崇められることの多い小峰様、

などなど、バラエティ豊かな面々。それぞれの特徴が上手くばらけていて、
あるある!こういう人いるいる!と共感せざるを得ないシーンが多々。
私は福神漬けを肩に載せる話がツボりました。

主人公の「私」は基本的にぐーたら娘。休みの日は昼過ぎまで寝て、同僚の家まで行き、何をするでもなく夜までだらだら。そんな時間を後悔するどころか、肯定すらしてしまう始末。

わたしはこうはなっちゃいかんな~、としみじみ思う。
でも、そうは言いつつもどこか憎めない。だって、悪い人はひとりもいないんだもの。

いっぱい食べて、いっぱい笑って。はぁ、また明日から月曜日…でも、現実に向き合って頑張ろう。
そんな気にさせてくれる、

そんな作り話wwww最高wwwww

バカリズムの溢れ出る才能がすごい。

そういえばむかーしに、NHKのオンエアバトルで、バカリズムがまだ「バカリズム」だった頃のネタを1度だけ見た覚えがあります。
子供ながらに、「バカだなーって」思いました。

よーい、どくしょっ!



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2016年12月05日

中居くん絶賛!『葉桜の季節に君を想うというこ

こんにちは、jikuasiです。
本日ご紹介する一冊はこちら!



”「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして―。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。”amazonより

綺麗なタイトルとシンプルで鮮やかな装丁のわりには、冒頭からいきなりアレの話から始まります笑

以前にSMAPの中居くんが、「最後の1ページまで目が離せない!」と大絶賛したことで一躍ベストセラーに躍り出た作品。
私も書店のポップで「徹夜必死!最後は必ず騙される!」という類のポップに感化されて購入。

結果:騙された

いやー、これは騙されますよ。普通に。叙述トリックというか、伏線が張り巡らされて、とかではないんですけど。たんに常識的な考えを持っている人ならばまず間違いなく騙されます。

ていうかちょっとくやしい。。

amazonや他の方の記事を見ると賛否両論、やや「否」寄りの意見が多いですね…。おそらくミステリー賞を多数獲ってるから余計に叩かれてるんだと思いますが。

わたしは全然オーケーです。そんな、みんな目くじらたてて怒らんでも。

むしろ、「世の中は常識であふれているけど、時には常識を疑うことも大切だ」という教訓をこの一冊から得られたので価値があったと思っています。

ネタバレはしない主義なので、なんのことやらって感じですよね。すみません。
気になった方はぜひ一読を。

よーい、どくしょっ!



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