2016年11月24日

追記映画も観たよ!『イニシエーションラブ』

こんにちは。jikuasiです。
本日の一冊はこちら。



『イニシエーションラブ』 乾くるみ


これまで女性とは一切縁のない生活を送っていた鈴木夕樹(たっくん)。たまたま代打で呼ばれた合コンの席で、マユに出会った。透き通るような透明感、愛くるしい笑顔、そんなマユにどんどん惹かれていく。
ほどなくして彼の初恋は成就し、初々しい青春のような日々を送りながら、二人は順調に愛を育んでいく。
しかしそんな甘いひとときは長くは続かなかった。環境の変化で、二人の距離が離れるのと同じくして、心の距離も次第に離れていく。
かのように見えたが…

ラスト2行で物語がひっくり返る!
必ず2回読みたくなる!
超絶恋愛ミステリー!




2004年の発売と、少し古い作品ですが、テレビでくりいむしちゅーの有田さんが紹介したことから一気に大人気となりました。僕も書店を何軒かまわっても在庫切れという状態がしばらく続きまして汗
130万部を超えるミリオンセラーの作品でございます。


お話の舞台は1980年代後半。ちょうど昭和が終わる頃です。
side-Aとside-Bの二部構成になってまして、前半部分ではマユとの出会いから始まり、抱いた恋心が成就し、幸せど真ん中!というラブストーリーが、見てるこちらが恥ずかしくなるくらいアツアツに描かれています。
後半部分では二人は東京と静岡の遠距離恋愛となってしまいます。それでも週末にはマユのいる静岡まで車で帰り、また月曜から東京で仕事に励む、そして頻繁に電話もしてしっかりと二人の関係をつなぎとめる、二人ともけなげに頑張っているんです。
しかしある日、たっくんは会社の同僚である美弥子と出会います。美弥子は誰もが認める美人で、スタイルも抜群、仕事もバリバリ出来る。
そんな美弥子に、惹かれないわけありますか?
やっぱり、遠くの親戚より近くの他人というわけですね(違うか笑)

そしてやがて二人の仲が親密になっていくにつれて、マユへの愛情は薄れていき、二人の遠距離恋愛は、はかなくむなしい最期を迎えます。

というまさに「あるある~!」な展開で進むわけですが、
それは一度目に読んだときのお話。最後に大どんでん返しが待っています。   

ということを私も聞いてから読んだので、「さすがにどこか途中で仕掛けに気付くやろ~」と思っていたのですが、最後になるまでさっぱり気付きませんでした。

むしろ最期になってもパニックで、しばらく仕掛けの意味が分かりませんでした。笑

「どど、どゆこと!!?」

ネタバレ記事等を見てようやく、

「ああ!そういうことか!やられた!!く~」


巧妙です。
実にうまい。


作中には色々なヒントや伏線がちりばめられているので、2回目はよぉ~く気をつけて読んでみてください。

ちなみにこの作品は昭和の終わり頃の現実の日本が舞台になっています。当時流行っていたドラマ「男女7人夏物語」を筆頭に、なつかしワードがぽろぽろと出てきますので、その世代の方は当時のことを懐かしみながら楽しめるんじゃないかと思います。

この作品も映画化されていますね。主演は前田敦子さんと松田翔太さんです。
まだ見れてないので、私はそちらも楽しみです☆

image-bee4a.jpeg続きを読む
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2016年11月12日

読書が苦手…『図書委員の神木さん』雨野みち

どうも、jikuasiです。

最近わたしの勤務先でのミーティングで、「毎週各自が本を一冊読んで発表しよう!」という取り組みが始まりました。
「いやいや、こちとら毎日発表してるっつーの」
という声をぐっと押し殺して、「超大賛成です、うふ☆」なんて作り笑顔をこしらえようとしている間に発表会が始まっていきました。

だりーな…と思いつつも、まぁそこは自分の好きな本を皆さんに聞いてもらえるというチャンス。僅かばかりテンションが上がり、普段よりも熱をもって発表している自分がいました。

しかしわたしのひとつ年下の後輩が、すこぶる読書苦手ちゃんなんです。

「ふええ~、活字が読めないよう~」
「ゆううつだよう~。」
「うだつがあがらないよぅ~。」

などとばかり申しておるので、

「んバッカモーーーン!!!ビジネスマンが本を読まずしてどうするんじゃボケー!!!」

なんていう上司は一人もいない。超ホワイティなわたくしの職場♪
みんなでどうすれば本が読めるかをあーだこーだ教え諭していたわけであります。

そんななか今回紹介するこちらの作品。超短編なので、ものの20分低度で読めちゃいます。




表紙からして漫画かと思いきや、高校を舞台にした小説です。ライトノベルってやつですね。
わたくし、お恥ずかしながらラノベ初体験でした。


あらすじ

無気力な男子の向日くんと、地味めな女の子、図書委員の神木さんとの短編ラブ・ストーリー  amazonより

短っ。しかし、あらすじはマジでこれで十分過ぎます。至極シンプル。
部活にも所属せず、ただ漫然と高校生活を過ごしている男の子。これまで本など読んだことがなかったが、
友人の助言で図書室へ行くことに。そこで出会った図書委員の女の子に、無意識のうちに惹かれていく。

複雑な伏線の回収とか、大どんでん返しとか、一切ありません。素直に物語が進んでいき、素直にハッピーエンド。雑味もなければ、後味の悪さも一切なし。でもお話としては面白い。

たとえて言うならばそう、いろはすのオレンジとかの味ついたやつ!




これうまいですよねー。最初に飲んだときは「なにコレっ!?オレンジ!!?甘い!でも水やん!えっ!?」
と軽いパニックになったことを覚えています。
水やお茶ではちょっとさびしいなーなんてときについ買っちゃいます。

しかしながら、いろはすは一本130円くらいですが、この作品はそれより安い99円!笑

しかもたったの26ページですよ。
さすがの後輩ちゃんでもこれなら読めるでしょー。

活字や読書が苦手な方は、こういったスンッと読めるものから入っていけば、慣れてきてそのうち長い文章も読めるようになってきますよー。

著者の雨野みちさんの他の作品もkindleで販売されていますので、そちらもぜひ。



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タグ:青春
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2016年11月05日

『僕は明日、昨日のきみとデートする』七月隆分

こんにちは、jikuasiです。

本日ご紹介する一冊はこちら!


ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

七月 隆文 宝島社 2014-08-06
売り上げランキング : 482
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七月隆文さんの、超純愛ファンタジー小説です。累計100万部を超える大ヒット作です。
こちらの作品も実写化されているようです。最近は早いですねー。本が売れたら即、実写化というルートが完全に出来上がっているような気がします。映画業界も大変でしょうしねー。

ちなみにキャスティングはこちら。
ぼくは明日昨日のきみ.jpg

ご存知モテ界最強の男、福士蒼汰くんです。きゃ~☆
ヒロインの小松奈菜ちゃんも最近ぐいぐい来てますよね!

あらすじ

物語の舞台は京都。主人公、南山高寿は美大に通う、ごく真面目な性格の20歳。
ある日高寿は電車の駅で出会った愛美にひとめぼれしてしまう。今まで使ったことのない勇気を振り絞り、声をかける。その後二人は距離を縮め、晴れて恋人関係になった。
デートを重ねていくにつれて、愛美に不思議な点がいくつか見つかる。
愛美はなんでもない時によく涙ぐむ。加えて、未来を予知したかのような言動が見られる。

その不可解な現象は、ふとしたときに愛美のメモ帳を見たことで、真相が明らかになる…


感想

電車のなかでひとめぼれという、超ベタ中のベタ展開で物語は始まります。そして恋人同士のあま~い恋愛描写。うーん、なんかちょっとむずがゆい。。
(べ、別にうらやましいとかじゃないんだからねっ!)

と、そうこうしてるうちにオチの展開がある程度読めてしまいました。汗
本の帯には読者コメントで、「号泣必死!」「電車で読むべからず!」みたいな文句がたくさん書いてあったので、「よーし、泣いてやるぞぅ!」という心構えで挑んだのですが、一滴も泣けず。。

これはわたしの心がドブ川のように汚れ荒み腐っているものだと思ってください。笑

映画では福士くんと奈菜ちゃんの迫真の演技で超感動的に仕上がっていることを祈りましょう。
もちろん映画を観た後の方もどうぞ。文字数少ないのでサクっと読めちゃいます♪

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

七月 隆文 宝島社 2014-08-06
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タグ:青春 恋愛 京都
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2016年10月19日

人間椅子 江戸川乱歩

こんにちは、jikuasiです。

今日の一冊はこちら。

人間椅子 (江戸川乱歩文庫)

江戸川 乱歩 春陽堂書店 2015-03-20
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若く、美しい夫人、圭子のもとに一通の手紙が送られてくる。送り主はたいそう醜い容姿の椅子職人。その醜さ故にこれまでにまともに人と面と向かって会話をしたりも出来ず、ましてや恋愛などもってのほかという。
その職人は、ある日注文を受けて完成させた革張りの立派な椅子に、ふとした思いつきで、人の入れる空間を作り、その椅子の中で数ヶ月間悪魔のような生活を送っていたという。椅子をは西洋人が泊まるホテルのラウンジに置かれ、昼間はホテルに来る、政治家やダンサーなど様々な人に座られて、夜皆が寝静まったころに椅子から出て、食料の調達や排泄を済ませるといったことを繰り返していた。最初は盗みを働く目的であったが、自分に座られたときに、革を通して伝わる人の温もり、一体感など、これまで味わったことのないような快感を得る。相手が女性のときには、「椅子の中の恋」ともいうべき、普通の暮らしではとうてい経験出来ない体験に酔いしれていた。
ある日、この椅子は道具屋に買い取られ、立派な洋館の書斎に置かれることとなった。そして男は、椅子の新たな持ち主である若い夫人に、本当に恋をしてしまう。

その夫人こそ、今この手紙を読んでいる圭子なのである。



こわっ…気持ち悪っ…

という気持ちが読み進めるにつれてどんどん増していきます。
その容姿の醜さから、よっぽどこれまで寂しい現実を送っていたんでしょうね…
異常どころじゃないです。

以前、排水溝の中に一日中潜って女性のスカートの中を見てた人が居ましたよね…
それよりはるかにこちらの方がレベルが上ですね。


長短編なので、サクッと読めます。そして構成もシンプルなので分かりやすい。それでいて、作品にぐ~んと引き込まれ、何とも言えないおぞましさがぞわぞわ~っと体を駆け抜けていきます。
江戸川乱歩、さすがです。

Kindleでは著作権フリーの青空文庫として、なんと無料で読めちゃいます。
その他にも短編のものや、作品集などもありますので、ミステリー好きな人はぜひどうぞ。

ちなみに、バンドの「人間椅子」も好きですよ笑
去年初めてフェスで見ました。カオスでした。笑

人間椅子 (江戸川乱歩文庫)

江戸川 乱歩 春陽堂書店 2015-03-20
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2016年10月18日

夜のピクニック 恩田睦 

こんにちは、jikuasiです。

今日の一冊はこちら。


第2回 本屋大賞受賞
第26回 吉川英治文学新人賞受賞



高校生活を締めくくる最後の一大イベント「歩行祭」。全校生徒が、24時間かけて全工程80kmもの道のりを、歩き続けてゴールを目指す、その名の通り”歩く”イベント。北高では修学旅行がない代わりに、この歩行祭が伝統行事となっていた。主人公の一人、甲田貴子は同じクラスメイトの、どこかクールなイメージのある西脇融に、ある想いを抱いていた。貴子と融は、異母兄弟でありながら、お互いに引け目を感じあい、これまでまともに会話すらしたことがなかった。その状況から一歩前に進むべく、貴子はある賭けをする。
お互いが相手のことを考えるが故のすれ違いや、とても繊細ではかない青春の情動。周囲を彩る個性豊かな生徒達。たった1日の、それも”ただ歩くだけ”のイベントに、彼らの揺れ動く想いが描かれている。



高校生活のお話です。西脇融のお父さんが、不倫をして出来た子供が甲田貴子です。お互いの存在は以前から知っていました。そして、くしくも二人は同い年で、なんと同じクラスメイトになってしまいました!
なんという運命のイタズラ!あぁ…!

貴子は、自分達のせいで、融の家庭が崩壊してしまったことに対してすごく引け目を感じています。
融ももちろん貴子親子に対して良い感情は抱いていないのですが、二人ともやはり心の奥底では’兄弟’という意識があって、どうもちょっと気になる…
周りの生徒達は二人の関係のことを知らず、実は付き合っているんじゃないかと噂を立てます。

というのが物語のキーなのですが、この二人以外のキャラクター達が皆個性があって実に面白い。
女の子同士の、独特の回りくどい恋の駆け引きのデッドヒート。はたまた男の子同士の、皆まで言わずとも分かり合える、熱い友情。

ぶっ飛んだ設定ではなく(高見くんという子以外はw)非常に微妙な性格や気持ちの差異をすごく自然に表現されていて、リアルに感じます。そういった著者の人情描写の背景にある、洞察力というか、人への愛情といったものを感じました。

とまぁ高校生達の会話や気持ちを描きながら歩行祭が進んでいくわけですが、そもそも80kmを夜通し歩くって、どんな苦行やねん!とまず思いました。汗

これが著者の恩田先生の母校茨城県の水戸第一高校で実際に行っていたというものだから驚き。
しかしながら、歩き続ける中で生じる足の痛みや疲れの描写は、経験した人でしか書けないであろう言葉で表現されていました。しかしその辛さがあるからこそ感じられる、何にも代えがたい大切な気持ちが生徒達に芽生えます。

しんどい経験こそが、人を成長させる。そんな言葉がぴったりだなと思いました。

こちらの作品も映画化されております。
今回はその映画版のキャッチコピーで締めさせて頂きます。


「みんなで夜歩く。それだけなのに、どうしてこんなに特別なんだろう」




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2016年10月15日

コンビニ人間 村田沙耶香

こんにちは。jikuasiです。

本日の一冊はこちら。


コンビニ人間

村田 沙耶香 文藝春秋 2016-07-27
売り上げランキング : 156
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36歳、独身、恋愛歴なし、18年間コンビニバイトを続ける恵子。
食事は全てコンビニで済ませ、コンビニバイトの為に規則正しい生活を送り、昼夜コンビニのことを考えて過ごす。幼いころから”変わっている”と周囲から言われてきた恵子は、コンビニで過ごす時間だけが”世界の部品のひとつ”となり、唯一安らげる空間であった。そんな恵子は同じコンビニの新人として白羽が入ってくる。35歳男、独身、職歴なし、志望動機は婚活の為。しかし与えられた仕事や今の境遇に文句を言うばかりで、何ひとつろくに出来ず、挙句の果てには女性客へのストーカーを理由に解雇されてしまう。
そんな白羽に対して恵子は、恋愛感情も一切なしに、同居することを提案する。双方のメリットが一致したことで、恵子は白羽にエサをやり、白羽は浴室で過ごすという、なんとも奇妙な同居生活が始まる。




2016年芥川賞受賞作

注目なのはなんといっても主人公、古倉恵子の異常ななでの奇天烈っぷり。

クラスに一人くらい、「不思議ちゃん」キャラの子っていますよね。
ちょっと天然というか、ウブというか。
そういう子には実は可愛がられようという作戦でやっている「仮面不思議ちゃん」的な疑いがかかったり
しがちですけれども、
恵子は正真正銘ガチの、それもかなり度を越えた不思議ちゃんです。
自分が、「他と違う、異端である」ということの自覚がないところが、笑える点でもあり、ちょっとかわいそうでもあるな、と感じます。

「喉の渇きを潤す為液体に味が付いている必要性を感じない」
は笑いました。


しかしながら、やはり作者のメッセージも込められているわけでありまして、

「36歳にもなって、コンビニバイトしかしてない、恋愛もしたことない、それって変だよ」

に対し、


「なんで?」


って言われたら、どう答えますか?

納得のいく説明は結構難しいんじゃないかなーと思います。

当たり前は、本当に当たり前か。

皆んなと同じ道を歩まないといけないのか。

そういった悩みにぶつかるのは誰しもが経験してきたことではないでしょうか。

私はどちらかと言えば「皆がこうだからこうじゃなきゃいけない」というのは大嫌いなので、恵子を咎める周囲の友人達のことあまり共感出来ませんでした。

好きなマイナーなバンドが売れてMステとかに出だすと好きじゃなくなっていくという…笑


著者の村田沙耶香さんは実際に現在もコンビニでバイトをしているようです。普段の、恵子に負けない奔放でぶっ飛んだ発言や行動から、作家仲間達からも「クレイジー沙耶香」と呼ばれているようです笑


たいてい芥川賞の受賞作品は、”おもしろくはない”というものだったようですが、これは”おもしろい”と、多数の批評家達が絶賛しておられました。是非に。

コンビニ人間

村田 沙耶香 文藝春秋 2016-07-27
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船を編む 三浦しをん 

こんにちは、jikuasiです。

本日の一冊はこちら

舟を編む

三浦 しをん 光文社 2011-09-17
売り上げランキング : 8163
by ヨメレバ


舞台は、老舗出版社の玄武書房。
ファッション雑誌等、華やかな部署とは対極にある、辞書編集部。
在籍してるのはほんの数人で、これまで長くに渡り辞書編集に携わってきた荒木公平と、外部顧問の松本先生、文学などにはまるで興味のないチャラ男風の西岡、契約社員の女性佐々木さん。
そして、荒木の定年退職に合わせて他部署からひっぱってきた主人公「まじめ君」こと馬締光弥。
全く新しい辞書「大渡海」の出版に向けて、膨大な数の言葉を拾い上げ、そのひとつひとつに意味を与えていく、途方もない作業。「穴の開いた辞書を世に送り出すわけにはいかない」
という強い想いのもと、大渡海の編集に十数年の歳月を費やす。完成に至るまでの辞書編集部の、”言葉”との格闘、馬締の強烈なまでのオタクっぷり、はてはその初恋までをも描く。
果たして大渡海は完成するのか!
そして馬締の初恋やいかに!



「右」という言葉を説明できますか?


2012年度本屋大賞受賞というだけあって、単純に面白い!そして読みやすい!
みなさん、「辞書ってどうやって作られているんだろう?」って考えたことありますか?
おそらく紙の分厚い辞書に触れること自体がめったにないですよね。
でも、ネットの辞書だろうと、その言葉の説明を考える人がいるわけですよね。
で、その説明は普遍的に、”いつでも、どこでも、だれが見ても”わかるものでないといけないんですね。
(もちろん例外はあるでしょうが)

「右」という語を説明出来ますかということですが、うーんどうでしょう…。



・箸を持つ方?   …左利きの人もいますよね。
・東の方向?    …あくまで北が上に書かれてる地図上では、の話ですよね。



本文中では、「アナログ時計の文字盤の、1,2,3,4,5がある方」「[10]という数字の、ゼロのある方」
などといったものが出てきます。

いやはや、難しい。。

こういった感じで全ての言葉に説明をつけていくわけですねー。そりゃあ途方もない作業です。
1年や2年では終わりません。


そして見所なのが主人公の馬締くんのコミュ症っぷりがすごい!笑
おそらく20代ですが、今まで本しか読んでません。デート?なにそれ?みたいな。
ラブレターにも、「拝啓、お日柄も良く~」てな具合に書いちゃうような。
そんな彼が、言葉と向き合っていく中で次第に成長していく様が、とても応援できます。


映像化もされていますのでそちらから入るのもありですね。
ぜひご一読を。

舟を編む

三浦 しをん 光文社 2011-09-17
売り上げランキング : 8163
by ヨメレバ





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posted by jikuasi at 12:09| Comment(0) | 小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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