こんにちは、jikuasiです。
本日ご紹介する一冊はこちら!
”若手芸人の下積み期間と呼ばれる長い長いモラトリアムを過ごしたぼくは、随分世間離れした人間になっていた―。スタバで「グランデ」と頼めない自意識、飲み屋で先輩に「さっきから手酌なんだけど!!」と怒られても納得できない社会との違和。遠回りをしながらも内面を見つめ変化に向き合い自分らしい道を模索する。芸人・オードリー若林の大人気エッセイ、単行本未収録100ページ以上を追加した完全版、ついに刊行!”amazonより
読書芸人、オードリー若林さんの本です。
先日のアメトーーク!第3回読書芸人の回で、書店員さんに
「若林さんに本を書いて欲しい」と言われて、
「いやいや僕は…」
みたいな反応だったから、本は書いてないのかと思ってました。騙された!
もう本出してました!2013年に。
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見つけた瞬間速攻で、バカリズムさんの架空OL日記と合わせてポチッと。
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内容は雑誌「ダ・ヴィンチ」に連載されていたエッセイを書籍化したものです。
人見知り芸人としても知られてますよね。
2008年の「M-1グランプリ」で準優勝してから、これまでの人生が一気にがらっと変わった若林さん。
それまでの下積み時代は、おそらく社会といわれる世界からは遠く離れた場所で暮らしていました。
それが急に、社会にポンと参加することに。仕事、人、環境、全てがこれまでと違う場所。
でも、当の本人は以前のままなので、うまく適応出来なかったり、疑問に感じたことをストレートに書き殴る。
簡単に言えば、末期の中2病患者で社会童貞。笑
読んでいて思ったのが、自分自身を観察する力がすごい、ということ。
こう、自分の外側に立って、自らを客観視する力というか。
スタバで「グランデ」と頼んだらカッコつけてると思われるだろうなー←と思っている自分
←誰も気にしてねーよ!
という感じでしょうか。
以前に書いた小池龍之介さんの本でも、これに似たことが書いてありました。
わなわなと怒っている自分がいるなー、ということを、自分が幽体離脱するようなイメージで、客観的に見る。すると、ふーっと怒りがおさまっていく。
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そんなように自分を上から、横から、覗いていく。
「オレはオレなんだから、考えたって仕方ねーよ」
と、他人事のように投げ捨ててしまうのではなく、しっかりと、自分自身と向き合って、対話を重ねていきます。
自分を否定して、矯正するのではなく、「こういう風にやった方がちょっと楽なんだな」くらいのふんわりとした心持ちで、徐々に社会に適合していく様が赤裸々に描かれています。
本についての考えもちょろっと書かれていました。
”本一冊で人生が変わるほど甘くはないよ。本は本気で何かをしたい人間にとっては杖やビート板のような役割をすることはあるけど、
本だけの力で人間を変えることはできないと思う。だから、とめどなくダイエット本が出ては売れるし、自己啓発本も売れる。本当に変われるの
なら、一冊出版されたらその一冊以降売れない筈。やっぱり本人の意思と行動ありき。本は杖やビート板。”
まったく、おっしゃる通り。
そういうばエリエスブックコンサルティングの土井英司さんも言ってましたね。
「 読者が主であり、本は従だ。その本から必要な部分を取り出し、自分の中に練り込んでいく作業こそが、読み手がやるべきことなのだろう。 」
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先ほどビート板の例えがありましたが、このような具合で随所に比喩が盛り込まれていて、そのどれもがすごく的を射ているんです。
あまりに上手なので、読んでいて気持ちがいいです。
しかも、実際のエピソードを軸に話が組み立てられるので、共感しやすい。
さらには、文庫版は「完全版」と銘打っているとおり、100ページにもわたって追記がなされているのもポイント。
連載当初に書いていた内容を、さらに何年後の自分がツッコミを入れるというのがおもしろい。
世間知らずなんかじゃない。至極まっとうに、社会というコミュニティに置かれている「自分」、またお笑いというコミュニティに置かれている
「自分」、それぞれ真摯に向き合って、見つめて、一歩ずつ生きていく。そんな姿勢に胸をうたれました。
生きるのがつらい人、売れない芸人、という方達はもちろん、いまを生きる全ての人に読んでもらいたい一冊です。
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